第16回「ゲームテキストについて考える」
ゲームテキスト。シナリオ。メッセージ。
言い方はいろいろですが、アドベンチャーゲームやロープレなどのメッセージウィンドウ内に表示される文章ですね。
これってみんなどうやって書いているのだろう?
ちょうど先日、社内の別のプロジェクトのメンバーから「ゲームテキストを書く際のルールのような物ってありますか?」と聞かれて、そういえばそんな物なかったなぁ、と思う場面がありまして。
まぁ、もちろんプロジェクトごとに「世界観用語の表記統一ルール」とか「三点リーダ(……)の使用ルール」とか「キャラクターの呼称ルール」とか「漢字の開き(漢字で書くか、ひらがなで書くか)」などなど、お約束はあるにはあるんですけど。
ただまぁ、こういうのってある程度のガイドラインに過ぎなくて、実際にはその場の勢いも大事だったりするので。
意識するのって、せいぜい世界観用語の統一くらいかな(これが崩れたら訳が分からなくなるので)。
真面目な若い人とか、ルールがあるとその通りにしようとしちゃう傾向があるのですけど、僕とかは自分で決めたルールも忘れちゃうので(それはそれで問題ですが)。
例えば普段は自分のことを「僕」と言っている主人公が、仲間を殺した相手(敵)に向かって「俺はお前を許さない!」と、自分の一人称を変えて言い放ったりとか、それは展開上必要で自然なセリフであればぜんぜん問題ないわけでして。
そこで「いや、主人公の一人称は僕だから、俺とは言わない」ってルールを持ち出されてもねぇ……
「いやいや、言いますから!」
むしろその状況で「僕」って言ってる主人公なんなの?
なに自分のアイデンティティ守ろうとしてるの?
真面目に怒れよ!
ってなるじゃないですか。
……とまぁ、こう言う事例があったわけではないですが。
大切なのはその瞬間のキャラクターの感情であって、設定やルールがそれを束縛してはいけない、というお話です。
あと僕が気にするのはメッセージウィンドウ内での文字の見え方ですね。
例えば20文字×3行とかの決められた制限の中で、いかに分かりやすく、読みやすく、視認性も高く、キャラクター性も出した文章を書くか。
この部分に結構悩んだり、時間をかけたりします。
(特にボイスがない場合はなおさらですね。普通に話し言葉で書いてしまうと読みにくいケースも多々あるので)
この制限が如実にあるのって、ゲームならではだと思うんです。
アニメやドラマCDや舞台とかだと「尺」という制限があったとしても、そこまで厳密に文字数という制限は無いですが、ゲームのメッセージとなると、一文字でもオーバーしたら表示されないわけですからね。
だから、改行する場所、使用する漢字、「てにをは」の有無や「ら抜き」言葉の使用、場合によっては上下の行の文字数のバランスや上下に表示される文字の位置まで、調整するポイントは山ほどあって、それでいてキャラクター性も犠牲に出来ないという。
なかなか面白い仕事だなぁ、と改めて考えさせられたりしました。
まぁ、言うは容易いので、実行しなきゃなんですけど。
ああ、チェックしなきゃならないシナリオがどんどん溜まっていくよ……